……まさかね。


気のせいだと思うけど、どうにも聞き覚えのある声に恐る恐る背後を振り返る。


その瞬間、私は自分の目を疑った。


目の前には黒いハット型の帽子を被った海斗さんの姿と、その周りを取り囲んでいる女子全員の殺気溢れる目。


まずいっ!

殺されるっ!!


海斗さんがいる驚きよりも、自分の身に降りかかる恐怖の方が勝り、私は勢いよく背を向けた。

後ろで海斗さんの呼び止める声が聞こえたけど、ここで応えれば確実に私の未来はなくなる。

私は心の中で何度も謝りながら、全速力で裏門へと走り出した。