一体誰が来ているというのか。

これだけ騒がれてるのだから、きっと有名人なのかな。

そういえばモデルって言ってたっけ。


芸能分野に全く興味がない私は、気にすることなく帰り支度を済ませ、教室を出ようと椅子から立ち上がった瞬間だ。

「きゃ~、カイトが来てるっ!」

突如廊下から聞こえた女子の黄色い声に、ぴくりと体が反応する。


なんだか聞き覚えのある名前を言っていたような……。



「……はは。まさかね」

思わず乾いた笑いが漏れた。


心当たりのある人物が脳裏に浮かんだけど、そんな筈はないと首を横に降る。  

ただ、あの容姿だと真っ向から否定出来ない。

そんな懸念が湧き起こってくるけど、それを無理矢理押し込めて、私は鞄を手に持ち教室を出る。

とりあえず、今日も色々疲れたし、早く帰ってゆっくり休みたい。

私は鞄を肩に掛けると、騒ぐ女子達を横目に、足早に玄関へと向かう。