「しかも最近の噂だとあの二人もう付き合ってるって」
「ええっ!?なにそれっ!」
思わず女子生徒と一緒に絶叫しそうになり、私は慌てて口を塞いだ。
「だって岡田先輩は女の子に興味ないんじゃないの!?」
女子生徒の震える声は、顔を見なくても涙ぐむ様子が伝わってくる。
私も輪の中に入り、同じように問い詰めたい衝動をなんとか必死で堪えた。
激しく脈打つ心臓は、今にも飛び出しそうで段々と息苦しくなってくる。
「あ、あくまでも噂だからね。もしかしたら紺野先輩がただ迫ってるだけかもしれないし」
女子生徒の気迫に押されたのか。たじたじになりながらフォローをしていたけど、あまり効果が得られず。
私はこれ以上岡田君を見ることが出来ず、目頭が熱くなるのを堪えながら、逃げるようにその場を立ち去ったのだった。