私達と同じモスグリーン色のジャージを着ているということは、おそらく岡田君と同じクラスか、隣のクラスの人なのだろうか。

それにしても、随分と二人の距離が近く、岡田君も嫌そうにしている様子はないし、あの人は一体何なのか。

しかも、遠目でも確認出来るくらいの美人。

その姿を目にした瞬間、誰かに心臓を握り潰されたような痛みが走り、思わず拳を握りしめる。


「紺野先輩って、恋人キラーって呼ばれてる人だよね。うちのバレー部の先輩、あの人に彼氏捕られたって言ってたし。まあ、男の方が一方的だったらしいけど」

「確かバスケ部のマネージャーだっけ。よく男子が騒いでたよ」


それから、紺野麻衣と呼ばれた人の情報を更に拾うため、私は横から聞こえる女子生徒達の会話を一言一句聞き漏らさないよう、耳をそばだてた。