おそらく、いつもこんな風に本人が知らないところで沢山の女子達に騒がれているのだろう。

分かってはいたけど、実際目の当たりにすると何だか胸が少し痛む。


昔はいっぱい遊んでいたのに、今では遥か遠い存在となってしまった岡田君。

もう叶わぬ恋だと分かっているのに、思い出がある分なかなか断ち切ることが出来ない。

見ているだけの状況なんて、ただ辛いだけなのに……。

私は更に広がる胸の痛みに耐えきれず、視線を反らした時だ。


「げっ、あれ紺野麻衣じゃん」

突然耳に飛び込んできた、女子生徒の嫌悪感溢れる低い声に足の動きが止まった。

「本当だ。うわ~、相変わらず岡田先輩にベッタリだね」


会話の内容が物凄く引っ掛かり、私は再び岡田君の方に視線を戻す。

すると、そこにはいつの間にか男子生徒の間に割って入り、岡田君と親しげに会話をしているほんのり茶髪の女子生徒の姿があった。