なんて羨ましい。
私も出来ることなら自転車通学を狙いたかった。
けど、近場にあまり気に入った高校がないのと、なるべく地元は避けたいという意志で、今の高校を選んだ。
それでも自宅からは二駅しか離れてない上に、今はまた更に近くなったから文句はないのだけど……。
そう思いながら、再びリビングの時計に目を向ける。
時刻はもうすぐ八時を回るとこ。
完全に遅刻決定だ。
私は全てを諦めたように深いため息を吐いて、遅刻の理由をどうするか考えていた時だった。
「加代ちゃん、仕事行くついでに学校まで伯父さんが送ってあげるよ。車だったらすぐだから」
絶望的な状況下、まるで天からの恩恵を授かったような伯父さんの有り難い言葉に、私は一気に心が晴れていった。