こうして、ついに夢を掴み取った俊君は、高校を卒業して、大学に進学しながら本格的にプロの道に進もうとしている。

海斗さんもモデルを辞めて、着々とフランスへと向かう準備が整い始める。


そうしている合間に、訪れてしまった約束の期限。


母親は無事プロジェクトを成功させ、喜びを露わにして予定よりも少し早めに帰国してきた。

私も母親に早く会いたくて、一旦は実家へと戻り、親子水入らずの時を過ごす。


そして、最初の約束通り。
伯母さん家での生活はここで終了し、ここから出ることになる。

けど、私はそれを拒んだ。


母親や伯母さん達には申し訳ないけど、私はギリギリまで海斗さんと俊君と一緒に過ごしたかったから。

春を迎える頃、同じ月に海斗さんはフランスへと旅立ち、俊君は大学に近い場所へと一人暮らしを始める。

だから、せめて二人が遠い所へ行ってしまうその直前まで、私は一緒に居たかった。


そんな私の我儘を母親も伯母さんも快く受け入れてくれて、私の同居生活は少しだけ期限が伸びたのだった。