けど、それはそういう現状だから作らないのであって、恵梨香自身をどう思っているのかが知りたい。

「それで、海斗さん自身は恵梨香のこと、どう思っていたの?」

これ以上こんなことを聞くのは酷なのかもしれないけど、ここで変な遠慮をするのはやめようと。

私はスマホを握り直し、震える声で尋ねる。


それから、再び押し黙ってしまった恵梨香。

そして、暫くすると、受話器越しから小さな溜息が聞こえた。

「海斗さんは、あたしを恋愛対象としては見れないみたい。妹さんと同じ年齢だし、高校生のあたしは、まだ子どもなのかな……」

憂気な声で教えてくれた恵梨香の話に胸が締め付けられる。

「恵梨香……」

こういう時は何て声をかければいいのだろう。

恋愛経験値が乏し過ぎる自分を呪いながら、失恋した親友に捧げる言葉を探すも、やはり思い浮かばず。
私はただ名前を呼んだ。

「でもね、可能性はゼロじゃないと思うの!」

「へ?」

すると、突然明るい口調へと切り替わり、意表をつかれた私は、思わず腑抜けた声をあげてしまう。

「海斗さんがフランスへ行っている間、あたし今よりもっと女子力上げて、大人になる。そしたら、また挑戦するって宣言したんだ!」


なんと。

フォローせずとも、既にそこまでの答えを自分で導き出していたとは。

しかも、その気持ちを早々に伝える恵梨香のプラス思考には、相変わらず恐れ入る。

「うん、そうだね。勝負はまだまだこれからだよ!」

なんて言ったて、これだけ逞しく、美しく、そして、とびっきり優しい私の自慢の親友だから。

そんな恵梨香なら、海斗さんだってきっと振り向いてくれるはず。

そんな明るい未来を信じて、私も恵梨香に負けじと気合を入れてエールを送ったのだった。