「俺はバスケの試合だよ。あの公園のすぐ隣に総合体育館があって、そこが会場だったから。試合前に軽く走ろうと思ったら加代を見つけたわけ」


なるほど。

試合前に走ろうとする神経が信じられないけど、その結果ゆう君と出逢えたことが何だか感慨深くて、私は宙を仰いだ。

「今思うと、あれは運命だったのかな」

だとすれば、こうしてゆう君と恋人になれたのも必然だったのかもしれない。

すると、突然ゆう君は吹き出し、小刻みに肩を振るわせた。

「なんだよ、その超乙女的な発想」

まるで小馬鹿にしたような態度に、少しむっとした表情を見せる。

確かにそうかもしれないけど、何もそこまで貶さなくてもいいのではと。

私は反論しようと口を開きかけた直後。

「けど、あながち間違いじゃないかもな。あの出会いがなければ、きっと今の俺達はなかったかもしれない」

思いがけない同調に一瞬目が点になるも、単純な私はその言葉で一気に気持ちが舞い上がっていく。


これが運命なら、きっと、私達はこれからもずっと一緒にいられるはず。


そう信じて、私は胸いっぱいに溢れる幸せを噛み締めながら大きく頷くと、もう少し彼と寄り添いたくて密かに距離を縮めた。