「なんか思い出すよ。公園で鉢会った時のこと。あの時は、色んな意味で驚かされたな」

すると、暫しの間一人の世界に浸っている中。
唐突に持ちかけられた当時の話に、浮遊していた意識は一気に現実世界へと引き戻された。

「そうだね。私も、まさかあそこでゆう君と会うなんて夢にも思わなかった」

忘れもしない、奇跡とも言えるあの瞬間は、今でも鮮明に浮かび上がってくる。

「そういえば、何であんな所にいたんだよ。前に理由聞いたらはぐらかしただろ」

そうしみじみと当時を振り返っていると、これまた突然痛いところを突かれてしまい、思わず肩がぎくりと震える。



そうだった。

結局、ゆう君にはまだ話していないんだっけ。


別にもう隠す必要はないのだけど、やっぱり事実を説明することに少しの抵抗を感じる。


「誰かと出掛けてたのか?……まさか、あいつと?」

それから言おうか言わまいか躊躇っていると、話がどんどん良からぬ方向へと進み始め、私は慌てて首を横に振った。


「全然違う!そんなんじゃないから!」

「じゃあ、何なんだよ」

尚も不服そうな表情で迫ってくるゆう君。

以前理由を尋ねてきた時は、深追いなんてしなかったくせに、今は正直に答えるまでとことん問い詰めてきそう。


なので、私は堪忍して全てを打ち明けた。

海斗さんがモデルをしながらスタイリストを目指している事。

そんな海斗さんに泣きついた事。

それから、イメチェンをして貰い、モデルの仕事を手伝った事。


一通り話し終えると、ゆう君は暫く言葉を無くしてしまった。