__それから、二時間以上は経過しただろうか。


気付けば外は暗くなっていて、予定していた帰宅時間を大幅に過ぎてしまい、私達は慌てて店を出た。


その時、丁度スマホの着信音が鳴り響き、私は制服のポケットから震えるスマホを取り出し応答ボタンを押す。

「もしもしゆう君?……うん、分かった。私も丁度お店から出たところだから。……うん、それじゃあ、駅の改札前で待ってるね」

そして、簡単に要件を済ませると、私は通話終了ボタンを押して、スマホをポケットにしまった。

「加代。もしかして、これからデートなの!?」

すると、会話を一部終始聞いていた恵梨香は、突然私の肩を掴み、驚愕の眼差しをこちらに向けてきた。

「ち、違うよ。そうじゃなくて、あの……これから私とゆう君で俊君にも話をしようと思って」

とんだ誤解に全力で首を横に振ると、苦笑いを浮かべながら、これからのことを打ち明ける。

「ゆう君がね、俊君にもちゃんと話をつけたいんだって。自分が正直になれたのも、俊君のお陰だって言ってたから」

自分で言っていて何だか気恥ずかしくなり、私は段々と声のボリュームを落としながら視線を明後日の方向へと向けた。

「なんて言うか、あいつって律儀ね。というか、加代のこと本当に大事に想ってるんだ。ちょっと……ていうか、かなり見直したわ」

そんな私を暫く呆然と眺めていた恵梨香は、感心するように、腕を組んで大きく頷く。

ゆう君を認めてくれたことは凄く嬉しいけど、やはり恥ずかしさは拭いきれず。

私は尚も照れ笑いを浮かべながら、恵梨香とはここで別れを告げた。