「……嘘、海斗さん来年いなくなっちゃうの?」

全てを聞き終えた恵梨香は、まるでこの世の終わのような顔つきになり、呆然としながらその場で固まる。

こんな絶望的な表情は初めて見た気がするけど、
好きな人に暫く会えないのだから無理もない。


「二年間だって。だから、一生会えない訳じゃないから」

ショックを受けた彼女に何て言葉を掛ければいいのやら。
結局ありきたりな事しか言えず、一向に硬直したままの恵梨香の顔を不安げに覗いた。


「……加代、決めた」

すると、突然ぽつりと呟いた一言に、私はきょとんとした目で首を傾げる。

「あたしも海斗さんに告白する!」

その直後、唐突に声を張り上げて、そう宣言する恵梨香に、今度は私が度肝を抜かされてしまった。

「時間に限りがあると分かれば、躊躇ってる暇はないし、あたしもここが正念場だわ!」

さっきまでの落ち込みようは一体何だったのか。

あっという間に立ち直った彼女の切り替えの早さに圧倒されながらも、恵梨香らしい前向き発言に、私は拍手を送った。

「流石、恵梨香!それなら、スケジュール合わせ協力するから」

そして、善は急げと。

私の祝賀会をさっさと終わらせると、今度は海斗さんとのデートプランを立てるために、私達はスマホを取り出し作戦会議を始めた。