「もう、加代ったら可愛い過ぎ。相変わらず期待を裏切らない反応だよね」

そんなたじろぐ私の様子を見て、恵梨香は堪らないといった表情で悶え始める。

「それじゃあ、あたしも加代を見習ってもっと頑張らないと」

そして、急に真顔に戻ると、恵梨香は拳を強く握った。


その瞬間、ふと心に引っ掛かりを覚える。

なにか大事な話を伝え忘れているような。

それが一体何だったか記憶を掘り起こそうとした途端、私はある重大なことに気付いた。


「そうだ!私、まだ恵梨香に話してないっ!」

「なっ、何!?びっくりした。どうしたの?」

不意打ちの如く立ち上がった私に度肝を抜かされたのか。
恵梨香は目を大きく見開きながら、心臓を抑える。



__そう。あれから色々あって、すっかり伝え忘れていた、海斗さんがフランスへ行ってしまう話。

何故これまで忘れていたのだろうと後悔するも、兎に角早く伝えようと事の次第を一から説明した。