「もういいんだ。もっと早く俺がけじめを付けていれば、ここまで拗れなかったのに。だから、悪いのは全て俺なんだ」
そんな泣きじゃくる紺野さんを宥めるように、ゆう君は優しく語りかけて彼女の頭を撫でる。
「麻衣の気持ちには応えてやれないけど、俺達の関係は何も変わらない。だから、またいつでも俺を頼れよ」
そして、力強くて温かい言葉を捧げると、紺野さんの表情に再び笑顔が戻り、ゆっくりと頷いてみせた。
こうして、全てに終止符が打たれた瞬間。
絡まっていた糸は全て解かれ、一本の道筋が出来上がる。
その道を、お互い見失わないように。
もう過去に囚われないように。
真っ直ぐ前だけを向いてこれからも進もうと。
側で二人を見守りながら、私は改めてそう心に誓ったのだった。