「てめえがそんなんなら、加代は俺が貰うぞ」

その時、突如背後から響いてきた声に、私達は一斉に振り向く。

視線の先には、学ラン姿の俊君が門の前に立ってこちらを凝視していた。


一体いつからそこにいたのか。

もしかして、私達の会話を一部終始聞いていのだろうか。


少し気まずい空気に、私はおかえりを言うのも忘れて俯くと、俊君はゆう君と対峙するように私達の間に割って入ってきた。

そして、不意に腕を掴まれると、そのまま俊君の方へと引き寄せられてしまい、突然のことに思考が付いていけない。

それから、二度目の沈黙が流れる中、ゆう君は私を一瞥する。


「ああ、頼む。俺には加代の側にいる資格なんてないから」

それから、直ぐに俊君の方へ視線を戻し、儚げな笑みを浮べると、足早にこの場を去って行ってしまったのだった。