それから、ようやく家まで辿り着き、伯母さんからおかえりと、労いの言葉を貰ってから、直ぐに二階へと駆け上がる。

まだ俊君も海斗さんも帰ってきていないので、真っ先に自室に戻ると、手早く着替えて身だしなみを整え、彼の到着を今か今かと待ちわびた。


直ぐに会いたい。

けど、少し怖いような。

向こうがノートを届けたいと言ってきたから、少なくともあの時みたく怒ってはいないとは思うけど……。


でも、なんで?

なんで急に会いに来てくれるの?

しかも、家までわざわざ。


もしかしたら、ゆう君も私に何か言いたいことがあるのだろうか。


彼を待っている間、変な期待ばかりが膨れ上がり、自制しててもどうにも止まらない。


だから、こんな馬鹿げた考えを一刻でも早く終わらせたくて。

私は時計ばかりを気にしていると、ついに鳴ったチャイムの音。

伯母さんには友達が来ると予め伝えてあるので、私は急いで部屋を飛び出し、玄関へと向かう。


どうしよう。

心臓が痛いくらいにドキドキする。


今日はただ謝るだけのつもりなのに、それだけでもこんなに緊張して動揺してしまうなんて。

私はちゃんとゆう君と会話が出来るのだろうか?



そんな不安をいっぱいに抱えながら、私はインターホンの画面に目を向けると、そこには制服姿の彼が立っていて。

それを見た途端、脈打つ鼓動が更に激しさを増していく。

「ゆう君いらっしゃい。今そっち行くね」

「分かった」

一先ず震える指で応答ボタンを押し、なるべく普段通りを心掛けて、笑顔で応える。

ゆう君もいつもと変わらない様子で返答してきて、私はインターホンを切ったあと、気持ちを落ち着かせる為に深呼吸を何度もした。