__私、さっきからから「はい」しか言ってない。
そう気付いたのは暫く経ってからで。
いい加減スマホを鞄にしまおうと手を下ろした途端。
今度はメッセージの着信音が鳴り響き、ふと画面に目を向ける。
それは恵梨香から送られてきたデフォルメされた中年おじさんのスタンプで、そこにはでかでかと“グットラック”の文字が表示されていた。
……そんな、グットラック言われましても。
まさか、この後彼に会うことになるとは。
確かに、昨日星空の下で強く会いたいと願いましたよ。
でも、いくらなんでも、ちょっと急過ぎはしませんか?
そんなことを心の中でぼやきながら、私は今日も雲ひとつない真っ青な空を見上げる。
兎にも角にも、こうしてはいられないと。
段々と状況を飲み込み始めた私は、徐々に思考回路が正常に動き出し、急足で家まで向かう。
とりあえず、告白云々の前にまずは謝らなくては。
何だかんだ、あれから一週間近く会っていないので、彼に会う前に一旦整理しようと。
私は家までの道中、暴れ回る鼓動を何とか落ち着かせながら、ゆう君に言いたいことを頭の中で並べていった。