近いっ!
近すぎるっ!
お願いですから、もう少し離れて頂くと、とても助かるのですがっ!
心の中で必死に懇願する私を他所に、満面の笑みを向けてくる好青年。
不覚にも、その顔に私の心臓は大きく跳ね上がってしまった。
「海斗、早かったじゃないか。加代ちゃんの到着に間に合ってよかったな」
その時、車を奥の車庫に停め終えた伯父さんは、キーをポケットにしまいながら彼の肩を軽く叩いた。
伯父さんの呼び掛けでようやく至近距離から解放された私は、気付かれないように胸を撫で下ろす。
海斗と呼ばれてたから、おそらくこの人が二人目の同居人なのだろう。
なんで揃いも揃って二人とも神出鬼没なのかな。
お陰でさっきからまともに呼吸が出来てない気がする。
……それに……。