「それじゃあ、渡辺君またね。いつまでも相原さんと仲良くしてね」

現地解散のため、三人で同じ電車に乗り、途中下車する渡辺君に、私は笑顔で別れの挨拶に気持ちを込める。

「山田さんも。あと、もうすぐ定期演奏会があるから、是非相原と一緒に聴きに来てよ」

そう言うと、渡辺君は少しはにかんだ笑顔を見せて、私達に手を振り電車を降りていった。



「ねえ、山田さんも告白成功したらすぐ私に教えてね?」

渡辺君と別れた後、相原さんは更に私と距離を詰めてきて、こっそり耳打ちしてくる。

「うん。正直不安しかないけど……どんな結果になっても相原さんにはちゃんと報告するから」

告白という言葉に過敏に反応した私は、照れ笑いを浮かべながら、小さく拳を握りしめた。


昨夜の女子トークで、お互いの恋愛事情を全て曝け出した私達。

流石に同居生活のことは触れられないけど、それ以外の経緯を彼女に話したら、最後にはとても励ましてもらった。

恵梨香や海斗さんに引き続き、こうして応援してくれる人がまた一人増えると、なんて心強いんだろう。

そう思いながら、私も相原さんの勇気に倣って告白する決意を更に固めていく。


それから、暫く電車に揺られながら再び女子トークに華を咲かせていると、あっという間に最寄り駅に到着し、また学校で会う約束をして、私達はそこで別れたのだった。