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暫く歩くと、生い茂る木々の中から突如現れた広い湖。
澄んだ水が、まるで鏡のように満天な星を映し出し、辺り一面がキラキラと輝いていた。

「……綺麗……」

その幻想的な景色に目を奪われた私は、思わず感嘆の息を漏らす。

しかも、こんな素敵な場所なのに、私以外誰もおらず、なんだかこの景色を全て独り占めしているようで、ちょっとした贅沢気分が味わえる。



……そう言えば、もうすぐ七夕だ。

だからといって特段興味があるわけでもないけど、この満天の夜空を見てふと浮かんできた。


きっと、これだけの星空なら、織姫と彦星も再会する事ができるだろう。

一年に一回しかチャンスはないのに、天候によって会える会えないが左右されてしまうのは、あまりにも酷な話だと思う。

だから、その日が来るまで、このままずっと光り輝いていればいい。

毎年、毎年、二人が必ず再会出来るように、絶える事なくいつまでも……。