__それから電車に揺られること約一時間弱。


研修会場の最寄駅に着いて、改札口を出た瞬間、青々とした緑の匂いが鼻をかすめる。

辺りは見渡す限り山に囲まれており、喧騒の街並みとは一転して、自然に溢れた、とてものどかな景色が広がり、時折吹く冷たい風が暑さを和らげてくれる。

しかも、天候にも恵まれ、真っ青な晴天の下。

私は大きく伸びをして、綺麗な空気を思う存分に吸い込んだ。


「すっごく、気持ちいい!私、都会よりも、これぐらいの自然に囲まれて暮らしたいなー」

相原さんの願望に激しく同感する私。

私もどちらかと言えば、都会よりも田舎派なので、出来ることなら暫くの間、ここに滞在してもいいくらい。

特に、今の私にはそれが必要な気がして、ここなら悶々とした気持ちも少しは紛れそうで。

ひとまず、思考を切り替えるために、私は胸に手をあてて深呼吸を何度かした。

すると、後から続々と研修に参加する生徒達が改札から出てきて、駅周辺はあっという間に学生で溢れ返った。


それから、私達はぞろぞろと会場まで向かうバス停まで足を運び、現地へと向かう。

向かった先は、更に山奥にある大きな湖畔前に建てられた立派なグランドホテル前。

そして、相原さんとお喋りをしながら集合場所であるホテルの駐車場へ赴くと、既に同じ学校の人や姉妹校の人達が沢山集まっていて、ざっと五十人近くはいるだろうか。

限られた人しか参加出来ないので、そこまでの規模にはならないだろうと思っていたけど、各学年が揃うと、思ってた以上に人が多い気がする。

それに、姉妹校の人達とは初めての交流なので、初対面の人達に囲まれる中、果たしてこの二日間上手くやっていけるのか段々と不安になってきた。