「でも、これで俺の気持ち分かっただろ。俺はお前が好きだ」

そして、俊君のストレートな告白に、私はまたもや言葉を失ってしまう。

知っていたけど、こうしてはっきり人から告白されたのは始めてで。

あの時と同じ熱い眼差しが、また私から思考を奪い始め、どうすればいいのかよく分からない。

「俊君は私がゆう君を好きなの知ってるでしょ?」

だから、自分でははっきりと答えが出せないので、彼に委ねてしまう。

それに、向こうが諦めてくれれば、私のこの想いも自然となくなるだろうから。 

我ながら何ともずるいやり方だと思うけど、今私が言えるのはこれぐらいしかない。


その時、俊君は不意に私の背中に手を回してきて、包み込むように抱き締めてきた。

「しゅっ、俊君!?」

まさかここで抱き締められるとは思ってもみなかった為、意表を突かれた私は体が硬直する。

おそらく、この激しく高鳴る鼓動は俊君にも伝わっているだろう。


「お、お願い。もう、こんなこと……やめて」

再び湧き起こる俊君への想いが胸をいっぱいにして、やめて欲しいとは思いつつも、はっきりと言えず、弱々しい声で訴える。


「だったら、もっと抵抗しろよ。俺の気持ちに応えられないなら、もっと俺を拒め」

しかし、一向に離してくれる気配がなく、俊君は強めの口調で痛いところを突いてきた。

「あの時だってそうだ。俺がキスするの分かってても、お前は逃げなかっただろ?」

しかも、完全に心を見透かされてしまい、これ以上何も言うことが出来ず、そのまま俊君に抱かれる。

「だから、お前が本気で俺を拒むまでは、絶対に諦めないからな」

そして、極めつけに、彼の熱い真意が私の胸を深く突き刺しきてきて、益々抵抗出来なくなる。


それから、相変わらず何も言わない私には構わず。俊君はあっさり腕を解くと、満足気に微笑み、そのまま部屋から出て行ってしまった。