こうして、海斗さんは私の気が済むまで側にずっと寄り添ってくれて。

気持ちが落ち着いた頃に、部屋へと戻って行った。

海斗さんを見送った後も、私は扉を見つめながら、その場で呆然とする。


……結局、海斗さんにお礼を言いそびれてしまった。


冷静になって、ふと思い出した当初の目的。

彼の帰りを今か今かと待ちわびてたのに、俊君のことがあったから、すっかり頭から抜け落ちてしまった。

けど、今は心の中がぐちゃぐちゃで。

こんな状態だと、しっかりと伝えることが出来ない気がして。

私はベットに倒れ込み、天井を見上げながら気持ちを整理してみる。


私は、ゆう君に告白をしたい。

けど、心の片隅にいる俊君の存在を否定できなくて。

俊君に触れられると、ダメだと分かっていても胸が高鳴ってしまい、どうしても意識してしまう。

それはつまり、私も少なからず俊君に心がゆらいでいる証拠。

だから、こんな中途半端だとゆう君に告白なんて出来ない。


せっかく、恵梨香にも前に進む宣言をしたのに、また私は止まってしまった。



もうどうすればいいのか、分からない。


でも、答えを出せるのは自分しかいないから。


だから、海斗さんが言うように、よく考えるしかないんだ。


自分の気持ちを。


後悔しない答えを。