もう、ダメっ!

これ以上近寄られると、耐えられないっ!


熱くなる体と暴れ出す鼓動に、私は堪えきれず彼から離れようと咄嗟に後退する。

その瞬間、体勢が崩れ、体がぐらついた。


「危ねっ!」

危うく階段から落ちそうになる直前。

俊君が瞬時に腕を掴んでくれたおかげで、何とかそれは免れた。

それから、ほっと息ついたのも束の間。

腕を軽く引っ張られ、バランスを崩した私は俊君の胸に飛び込んでしまう。

「しゅっ、俊君!?」

咄嗟の出来事に、一瞬頭が真っ白になった私。 

けど、直ぐに思考回路が動き出し、彼から離れようと腕を動かすも、体をがっちりと抱き止められてしまい、身動きが出来ない。

「だから、何で俺を避けるんだよ。ちゃんと理由を言うまで離さねえぞ」

しかも、追い打ちをかけるように、俊君は抱き締める腕に力を込め、耳元で吐息混じりに艶っぽい声で囁いてくる。

「もう、こういうことするからだよっ!」

そんな全身から伝わる彼の熱に我慢の限界を迎えた私は、思わず心の声を外に溢してしまった。

「俊君がこんなことばっかりするから、意識しちゃうの!」

それを引き金に、半ばやけになりながら、これまで抱えていた本音を彼にぶつける。