確かに言われてみれば、ゆう君の不可解な行動はいくつかあった。

文化祭で俊君に抱きとめられた時、何故か不機嫌な様子だったこと。
 
ステージ上で彼と同じことをしてきたこと。

そして、保健室で見せてきた、あの熱い視線。


あれは、全部私の事が好きだから……?



これまでのことを振り返っていくと、恵梨香の言っていることも満更ではない気がしてきて。

違うと否定したいけど、一度火がついてしまった気持ちはどんどん加速していく。


とりあえず、ここは一旦落ち着こうと。

頭を切り替える為、私は胸に手をあてて、ゆっくりと深呼吸を何度かした。



「あのね。私ゆう君に告白しようと思うの」


「…………は?」

それから彼女にも、この決意を知ってもらおうと宣言した途端。
まるで鳩が豆鉄砲を食ったような顔で、恵梨香はその場で固まる。

「結局のところ、ゆう君が私の事どう思っているかなんて、本人の口から聞かないと分かんないし。かと言って今のままじゃ、ずっと平行線を辿っているだけだから……」

けど、それにはお構い無しにと。
私は胸の内を語った後、硬直する恵梨香の手に自分の手を重ねた。

「だから、せめて私の気持ちだけでも知って欲しいから。私、ゆう君に告白するって決めたの」

そして、ぎゅっと握りしめてから、私は恵梨香の目を真っ直ぐ見据えて、力強くそう言い放つ。


すると、恵梨香は突然私の首元に勢い良く抱き付いてきて、不意を付かれた私は、危うく心臓が飛び出しそうになった。

「加代、偉い!よく言った!あたし今超感動してるからっ!」

それから、周りの雑音を掻き消す程の声量に、周囲の視線が更に突き刺さり、私は恥ずかしさのあまり身を隠したい心境に駆られる。

けど、盛大に喜んでくれた事が素直に嬉しくて。

私は揉みくちゃにされながら、されるがままに身を委ねた。

「結果はどうあれ、私達最後まで諦めないでいこうね!」

そして、満面の笑みで送られたエールに、私も力一杯頷く。