私は深い溜め息をはくと、駅のロータリーに建てられた時計に視線を向けた。


あと十分後には伯父さんが迎えに来る。


私は微妙な待ち時間をどう潰すか考えていると、ふとガラス張りの窓に映る自分の姿が視界に入った。


今日も相変わらずの全身ユニコロスタイル。


下は黒のジーパンに、上は白のカットソーと茶色のカーディガン。そしてトレードマークの大きな黒縁眼鏡。


とても華の女子高生とは思えない格好。


一般的には初対面の男の子と会うならお洒落に気合いが入るのだろうけど、私は生憎そんな勝負服なんて持ち合わせていない。

そもそもとして、これから同じ屋根の下で過ごすのだから、気合いは必要ないのかもしれないけど。


私はどんどんと積もり始めていく憂鬱感に、自然と肩が落ちる。


こんなんじゃ岡田君に近づくなんて、とても無理だ。


変わらなきゃ恋愛も出来ないし、お洒落も出来ない。


恵梨香が言うように、もっと自信を持たなくちゃ。


いつまでも過去のしがらみに捕らわれないで、前に進まなきゃいけない。


そう心の中で何度も何度も叫んでるのに。

なかなか勇気を出せない私の弱い心は、今も停滞し続けたまま。