文化祭が終わって一週間以上経過しているので、もう平気だろうと思っていた自分の考えが甘かった。

覚悟していた気持ちは段々と薄れてきていた為、そこで不意打ちの如く襲ってきた岡田ファンの攻撃に、私は既に心が折れそうになる。



「わ、私は岡田君とは幼馴染なだけで、そういう関係ではありません」

とにかく、責められた時のために準備しておいた台詞を、私は震える声で岡田ファンに向かって言い放つ。

というか、これぐらいしか言う事がないし、こっちだって何であんな行動を取られたのか、聞きたいくらいなのに!

私は心の中で恨み辛みをゆう君にぶつけていると、気付けば周りの表情は益々険しくなっていく。

「はあ?何言ってんの?幼馴染はあの忌々しい紺野じゃん。もしかして、いいようにあたし達を巻こうとしてない?」

そして、にじりにじりと距離を詰められ、更には胸倉を掴む勢いで、壁の方へと追いやられた瞬間だった。


「別に、幼馴染は一人だけってわけじゃないでしょ」

突然背後から聞き覚えのある声が響き、この場にいる全員が一斉に振り向く。

その視線の先には、腕を組みながら仁王立ちしている紺野さんの姿があった。

「ちょっと、あんた達の声体育館の中まで丸聞こえなんだけど。うるさいから他所でやってくれない?」

岡田ファンに負けじ劣らずの気迫を放ち、こちらへ近付いてくる紺野さん。
その気迫に押されながら、岡田ファンは後退りする。

それから、バスケ部員に聞かれていたという痛感の一撃により、皆逃げるように一目散とこの場を離れていったのだった。