授業が終わり教室から人がはけ始めた頃、私は人気のない体育館の裏側に佇む。

辺りはしんと静まり返り、物音といえば遠くの方でテニス部のボールを打つ音と、体育館から聞こえてくるバッシュの音ぐらい。 

私は深く息を吐いて、高鳴る鼓動を少しでも落ち着かせようと胸に手をあて、恐る恐る顔を上げた。



「ちょっとあんた。ミスに選ばれたからって調子に乗ってんじゃないわよ!」

「岡田君はあたし達の憧れの人なのに何あれ?なんであんな羨ましいことされてんの?」

「もしかして、付き合ってるとか?はっきり答えるまで解放しないから」

その直後、物凄い形相で次から次へと理不尽な言い分と質問をぶつけてくる女子達。

覚悟はしたものの、これだけの人数で詰問されてると、先程までの強い意思はあっけなく吹っ飛んでいった。

誤解を解こうと決めていたのに、これじゃあ説明どころではない。

私は涙目になりながら、岡田ファンの激しいバッシングに耐え続け、反論の機会を伺った。