__こうして迎えた日曜日。


穏やかな風が吹く青空の下。 

今日は比較的気温が低く風もある為、とても過ごしやすい。

なので、真っ黒な喪服でもそこまで暑さは感じず、私は手に花束を持ちながら、前を歩く海斗さんにくっついていった。

初めて見る海斗さんのスーツ姿。

一度、写真では見たことあるけど、やっぱり実物は全然違う。

海斗さんの細身で締まった体と、長い足が強調されている上に、大人な雰囲気を更に醸し出し、先程から目を奪われている。
 
「加代ちゃん、今日は本当に来てくれてありがとう。一人でも多い方が唯香もきっと喜ぶよ」

すると、不意に海斗さんがこちらの方を振り向いてきたので、慌てて視線を逸らした。

「そう言ってくれると嬉しいです。なんか無理矢理付いて来ちゃったような気もしてたから……」

私は平静を装い笑顔でそう答えると、海斗さんも満面の笑みを返してくれる。


唯香さんを裏切った罪の代償で、私を守ると言ってくれた海斗さん。

私なんかで彼の気持ちが少しでも和らぐなら、いくらでも妹さんの代わりになろうと決めた。

だから、この気持ちを唯香さんにも伝えたくて、ここまで来た。


……それと、もう一つ。

出来れば、少しでも誰かと一緒にいる時間を増やしたかった。

一人だと、ゆう君のことでまた思考が負の連鎖を起こしそうなので、少しでも気が紛れればいいなと。

こんな邪な考えを持って唯香さんの墓前に立つなんて、なんとも失礼な話だと自覚はしているけど、今はそうまでして誰かに縋り付いていたかった。