「そういえば、今度の日曜日って唯香ちゃんの命日よね？」

それから暫く会話を弾ませていると、伯母さんがふと思い出したように、壁に掛けてあるカレンダーへと目を向ける。

「はい。今回は僕だけ御墓参りに行ってきます。三回忌はまた後日一家揃って執り行う予定ですので」

やんわりと微笑みながら静かに答えた海斗さんの話に、私は箸を進めていた手の動きがピタリと止まる。


二年前の今頃、海斗さんは苦しみに堕ちた。

それからずっと引きずり続けていた後悔と罪の意識。そして、私はその妹さんと瓜二つだということ。

そう考えると、何だか他人事ではないような気がして、心が騒めき始める。


「あ、あの。私も唯香さんの御墓参りに行ってもいいですか？」

それから言おうか言わまいか最後まで迷ったけど、そう決断に至った私は、震える声で提案してみた。

赤の他人が命日の御墓参りに同行するなんて可笑しな話なのかもしれないけど、私が唯香さんの代わりになれるなら、ここはしっかりと手を合わせた方がいい気がして。

緊張で震える鼓動を抑えながら、海斗さんの反応をじっと待つ。


「ありがとう、加代ちゃん」

すると、暫しの間目を点にして固まっていた海斗さんは、柔らかい表情へと戻ると、とても嬉しそうに笑顔を浮かべてくれて。

予想以上に喜んでくれたことに、言って良かったと心からそう思った。