「しゅ、俊君!?」

いきなりの至近距離に驚いて、咄嗟に離れようとするも、両腕をがっちりと掴まれてしまい身動きがとれない。

しかも、伯母さんからは死角で私達のことは見えないけど、すぐ近くにいるため、俊君とここまで密着している状況に私の鼓動は益々激しさを増していく。

しかし、焦る私とは裏腹に。

俊君は落ち着いた様子で更に私の体を引き寄せてきて、どうすればいいのか分からなくなり、軽いパニック状態に陥った。


「もしかして、あいつと何かあった?」

そして、またもや鋭い所を突かれてしまい、驚きのあまり目を丸くする。

「あいつって、誰のこと?」

俊君の言わんとすることはよく分かるけど、今はその話題に触れたくなくて、あえて知らぬそぶりを見せる。

「とぼけんなよ。お前の幼馴染に決まってんだろ」

しかし、こちらの気持ちを全く汲もうとしない俊君は、更に私を追い込み、逃げ道を塞いでくる。

「な、何にもないよ。なんで、そう思うの?」

それならば、ここはもう強引に押し切るしかないと。若干ムキになりながら、質問を質問で返すと、俊君は眉を潜めて急に黙り込んでしまった。

何故こんなにも不機嫌そうなのだろう。

ゆう君のことでだんまりを決め込んだのが、そんなに気に食わなかったのか。

そこまで私のことを心配してくれているのだろうか。

そう思うと段々罪悪感が沸いてきて、話そうか話さまいか迷い始めていた時だった。