それから先のことは、あまり覚えていない。
完全に蚊帳の外状態となった今。
兎に角この場から一刻も早く立ち去りたくて、私は先に戻ると言い足早に保健室から出て行った。
しかし、このままイベント会場に戻る気も起きず。心が空っぽのまま、私は無気力に通路を歩く。
すると、ポケットにしまっていたスマホが震え、取り出して画面を見ると、そこには恵梨香からのメッセージ通知が表示されていた。
おそらく、なかなか戻ってこない私を心配してくれているのだと思うけど、今は直ぐに返信をする気力もなく、私はそのままスマホをポケットにしまう。
イベント会場では未だ熱気が冷め止まぬのか。
生徒達の盛り上がる声が、ここからでもよく聞こえてくる。
けど、そんな事はどうでもよくて。
自分がミスに選ばれたという喜びも、頭からすっかり抜け落ちてしまって。
思考回路がぴたりと止まってからは、私は涙一粒さえも零れ落ちなかったのだった。