「つ、つまり私はその学生さん達と同居するってことだよね!?」

そして、暫く硬直していた私の脳はようやく動き始め、無理やり声を絞り出す。


「やっだ~、加代ったら!なに当たり前のこと言ってるのよ」

そんな私の様子には全く気付かず、ばしんと豪快な音を鳴らして背中を叩いてきた母親。

そのまま倒れてしまいたい衝動を何とか堪えようと、私は片足を床に踏ん張る。


「それじゃあ、大きなプロジェクトも決まったし、加代がお姉ちゃん達のお世話になるお礼も兼ねて、ささやかなディナーをどうぞ堪能してくださいな」


それでは、皆さん乾杯!


……と母親の掛け声と共に、お茶の入ったグラスがカチンとリビングに鳴り響く。


それから暫く歓談が続き、伯父さんと伯母さん達はテーブルに並べられたご馳走を自分のお皿に盛りながら、昔話に華を咲かせ始めた。


そんな中、私はあまり会話に入ることが出来ず、奈落の底へと突き落とされたような感覚に、周りの声がどんどんと遠ざかっていく。