「こいつになんの用?」

終始落ち着いた様子で相手を見下ろしながら、静かにそう尋ねる俊君。

「痛えな!何なんだよ、お前!?」

けど、掴んでいる腕の力はどんどん強まっているようで、男は痛みに顔を顰めながら尚も俊君に食ってかかろうとする。

「おい、やめろっ!こいつ、星南高の早川だ。ほら、先輩達を潰したやつで……」

すると、傍にいたもう一人の男は途端に顔を青ざめ、慌てて男の肩を掴んだ。

それから、話を聞いた金髪の男も同じように血の気の引いた顔で俊君から離れると、一目散にその場を退散していったのだった。



「大丈夫か?」

男達が立ち去った後も暫く呆然としていると、俊君は隣に座り、心配そうな目で顔を覗き込んでくる。

その表情に恐怖の糸が解れた私は、後から恐怖がじわりと込み上がってきて涙腺が緩み始めていく。

「安心しろ、俺がいるから」

そんな怯える私の頭を優しく撫でながら、ゆっくりと語り掛けてくれる俊君。

なぜだろう、この温もりがこんなにも心地良いと感じるなんて……。

まるで大きなものに守られているようで、不思議と体の震えが収まってくる。

「ありがとう、俊君」

一先ず気持ちが落ち着いてきたので、私は口元を緩ませ、顔を上げた時だった。