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「あーもう、何なんだよ」

私達は人集りから離れる為、比較的閑散としている中庭に設置された休憩用ベンチに腰掛けた。

ここに辿り着く間も他校生から声を掛けたりと、女子達に囲まれてしまい、海斗さんに匹敵する程の人気ぶりに改めて驚かされる。

「仕方ないよ。俊君目立つし」

本当に海斗さんといい、恵梨香といい、ゆう君といい。何故にこうも私の周りにはキラキラした人が多いのか。

そんな疑問が過りながらも、私はぐったりする俊君に哀れみの目を向けた。

「とりあえず、喉乾いたから飲み物買ってくるわ。加代は?」 

「私は大丈夫だから、気にしないで」

それから俊君は深い溜息を吐くと、ベンチから立ち上がり、休憩所から少し離れた自販機へと向かって行った。

その背中を見送りながら、私は次の目的地を決めようと、休憩所に備え付けられた案内パンフレットに手を伸ばす。