「てか、山田さん早川先輩連れてきてくれたの!?」

すると、今度は俊君の方に注目が集まり、クラス中の女子の目の色が変わり始めた。

「確か山田さんの親戚なんだよね!?私こんな近くで見たの初めてなんだけど!?」

「山田さん、ちょっと私を紹介してくれない?」

「あ、あの!あたし早川先輩のファンですっ!」

どうやら、いつの間にか私は俊君の親戚だという話に変わっていたようで。けど、その方がむしろ都合がいい気がして、敢えて否定はしなかった。

そして、怒涛のように押し寄せる女子達の勢いに、流石の俊君も怖気付いたのか。顔を引きつらせて後退りする。

「行くぞ加代!」

それから突如腕を強く引っ張られると、私達は逃げるようにこの場を後にしたのだった。