こうして俊君と二人になった私は、一先ず自分のクラスに案内しようと教室に向かうも、手前まで来た所で思わず立ち止まってしまう。

恵梨香達は太鼓判を押してくれたけど、それでも少しの恐怖が拭い切れなくて、体がなかなか言うことを聞いてくれない。

すると、見兼ねた俊君は無言のまま私の手首を掴むと、引き摺るように教室の中へと足を踏み入れた。

その瞬間、中で待機していたクラスメート達の視線が一気に集まり、どよめき立つ。

「……え?嘘、山田さん?なんか、雰囲気全然違うんだけど」

「マジか。俺結構タイプなんだけど」

それから、動揺を隠せないクラスメート達のひそひそ話が耳に届き、顔から火が出るほど恥ずかしくなった私は身を縮こませる。

「凄いよ山田さん、めっちゃ似合ってるよ!しかも、コンタクトにしたんだ!」

「なんか本物のメイドさんみたいだね!超可愛いー!」

それから程なくして数人の女子達が駆け寄ってくれると、予想以上の賞賛の嵐に始めは戸惑うも。

段々と緊張が解けてきて自然と表情が緩み始める。


やっぱり、海斗さんの力は絶大だ。

二度も私を変えてくれて、その度に自信と喜びを与えてくれて。

最後の後押しをしてくれた俊君にも、感謝の気持ちで一杯になる。

そんな想いを込めて、私は隣に立つ俊君に目を向けると、やんわりと優しい笑みを返してくれた。