「何これ!可愛すぎでしょ!?ていうか、お待ち帰りしたい!奉仕されたいっ!」

その時、突然肩を掴まれ、欲望丸出しの発言連発にどう反応すればいいのか。
嬉しいやら恥ずかしいやらで、私は困惑しながら苦笑いを見せる。

すると、はたと我に返った恵梨香は、気を取り直して咳払いを一つすると、海斗さんと俊君の方へと向き直した。

「お久しぶりですね。来てくれて凄く嬉しいです!あんたは、別にどっちでもよかったけど」

海斗さんに熱い視線を送る一方。相変わらず俊君に対しては未だ敵対視しているのか、口を尖らせながら厳しい目で一瞥した。

そんなあからさまな態度を俊君は特段気にすることなく、何やら終始黙ったまま恵梨香をじっと見つめる。


「……な、なによ」

らしくない彼の行動に恵梨香はたじろぐと、不意に俊君は口元を緩ませた。

「お前のその格好、なんかエロいな」

そして、すらりと伸びた生足に視線を落とすと、妖しい笑みを浮かべながら言い放った一言に、恵梨香の顔は急激に赤みを帯びていく。

「こ、この変態!いっぺん死んでこいっ!」

それから、力一杯罵声を飛ばした直後。脇に立っていた海斗さんの鉄拳が俊君の頭に落ちた。

「場をわきまえろ、このバカ」

「んだよ。別に正直な感想だからいいだろ」

滅多に見ることのない海斗さんの冷めた視線に俊君は舌打ちすると、ふだれた箇所を摩りながら不服そうな表情で悪態をつく。

そんな二人が何だか本当の兄弟のようで。私は微笑ましく思いながら、暫く二人の掛け合いを黙って見守っていた。