まさか、俊君がここまで褒めてくれるとは思いもよらず。これまで苦労してきたことが、何だか報われたような気がして、私は自然と笑みがこぼれ落ちた。


メイド服は私服っぽく作ったので、実際着てみたらそこまでの抵抗感はなく。

髪型はデザインに合わせてアンダーで結んだツインテールに、コテでゆる巻状態にしてもらい、軽くメイクもしてもらった。

仕上げに、頭には真っ白なレースのヘッドドレスとお花のコサージュを添えて完成。


そして、何よりも一番大きく変わったこと。


それは……。


「そういえば、お前眼鏡は?」

ようやく、まともに視線を合わせてくれた俊君は、私のトレードマークである大きな黒縁眼鏡がない事に首を傾げる。

「コンタクトにしたの。この前、眼鏡を買い直した時に一緒に作ってもらったんだ」

私はその質問を待ってましたと言わんばかりに、満面の笑みでそう答えた。


これは、眼鏡が壊れた時から決めていた事。

前からコンタクトにしたいという願望はあったけど、なかなか踏ん切りが付かず、時間ばかりが過ぎていた。

けど、眼鏡が壊れたタイミングと、俊君から言われた“可愛い”の一言によって後押しされ、私はコンタクトにすることを決意したのだ。

しかし、そう決めたはいいものの、なかなか変えるタイミングを掴む事が出来ず。

色々考えた結果、このコスプレをする時に黒縁眼鏡を卒業することにした。