二人に連れられ、辿り着いた場所は事前に確認しておいた人気のない倉庫代わりになっている空き教室。
俊君には見張り役として入口前で待機してもらい中に入ると、海斗さんはその辺に置かれている物で手際よくパーテンションを作り、トートバックからメイド服とメイク道具を取り出して準備を始めた。
「それじゃあ加代ちゃん、まずはこれに着替えてくれるかな?」
そう笑顔で差し出されたメイド服を恐る恐る手に取ると、私は徐に頷いてから即席のパーテンションの裏へと回る。
「あ、あの……海斗さん、例の物も持ってきたんですか?」
「もちろん。だって今日から卒業するんでしょ?」
そして、着替えようとした直前。
朝からずっと気になっていたことを恐る恐る確認すると、軽快な声で質問を返されてしまった。
「そんなに心配しなくて大丈夫だよ。加代ちゃんの魅力を充分に引き出してあげるから、僕を信じて」
すると、なかなか返答出来ずにいると、海斗さんは優しさが籠った心強い言葉で背中を押してくれて。
勇気を貰った私は二つ返事をしてからメイド服と向き合った。