「全く。カイトにスタイリングされるなんて、本当贅沢過ぎるにも程があるでしょ。とりあえず、写真は任せて!加代のメイド服、アルバム作る勢いで撮りまくるから!」

そう断言すると、恵梨香はどこから取り出したのか。
いつの間にやら手にはデジカメを持っていて、意気揚々と鼻を鳴らした。

「ちょ、ちょっと、写真は止めて!ただでさえ恥ずかしいのに」

そんな恵梨香の暴走を止めようと、必死になって抗議するも、彼女の決意は揺らぐことなく。

強制的に撮影会の約束を交わされてしまい、私は逃げ場を無くしてしまった。

そうこうしていると、開会式開始を告げる放送が校内中に流れ、生徒達が続々と体育館に集まり始める。


こうして、ついに幕を開けようとする文化祭。

期待感よりも、ようやく準備期間が終わった開放感の方が勝り、私は晴れ晴れとした気持ちになりながら、後に続いて恵梨香と一緒に体育館へと向かった。