「いよいよね!待ちに待った文化祭!」

雲ひとつない青空の下。拳を強く握りしめて、そう力強く言い放つ恵梨香。

「ねえ、カイト来るんだよね!?来てくれるって言ってたんだよね!?」

そして、期待に満ち溢れた眩い程の瞳をこちらに向けながら、ぐいぐいと距離を縮めてくる。

「うん。俊君と一緒に来るって」

その勢いに押されつつ、私は満面の笑みで首を縦に振ると、恵梨香の目は更に輝きを増していく。

「ああ!またカイトに会えるこの日をどんなに待ち望んでいたかっ!」

それから、まるで神に祈るように両手を組むと、
恵梨香は遠くを見つめながら、自分の世界に浸り始めていった。


「……で、加代はいつ着替えるの?」

その様子を暫く傍観していると、不意打ちの如く指摘されてしまい、油断していた私は肩がびくりと震える。

「早く着替えなさいよ。あたしなんて朝から気合い入れまくりだし。全てはカイトのために!」

そんな固まる私に対して容赦なくメイド服を要求してくる恵梨香は、最後の言葉に力を込めると再び拳を強く握りしめた。


確かに、今日の恵梨香は一段と美しさに磨きがかかっていると思う。

胸元に花びらが描かれている、鮮やかな赤いチャイナドレス。

スカートの丈は膝上となかなか大胆な短さで、そこから伸びる恵梨香の細くて長い生足と、髪をお団子に結わえたことにより綺麗なうなじが目立つ姿はとても艶やかだった。

加えて、ほんのり色付くツヤツヤの唇と、ナチュラルメイクで仕上げた彼女の装いは、同性の私が見ても惚れ惚れしてしまう。