◇◇◇
事が穏便に済み、引き上げる頃にはかなり時間が過ぎていて、伯母さんから着信が入った。
なかなか帰ってこないことを凄く心配されてしまい、申し訳ない気持ちで一杯になった私達は、暗い夜道を歩いて帰る。
しかし、歩いているのは俊君一人だけで、私は俊君の背に身を預け、首元にしがみついたまま先程から心臓が鳴り止まない。
「……ね、ねえ、重くないの?私、一人で歩けるから大丈夫だよ?」
家まであと僅かの距離なので、お言葉に甘えてしまったけど。
負ぶさっている状態と、自分の全体重が知られてしまった恥ずかしさに、私は震える声で恐る恐る尋ねる。
「バカ、その足で歩けるかよ」
そんな私を呆れた顔で一瞥すると、俊君は小さく溜息を吐いてから視線を前に戻した。
確かに、自転車が倒れた右足首は青く腫れ上がり、今でもじんじんする。
恐らく骨折まではしていないと思うけど、明日は病院に行った方がいいかもしれない。
それに、眼鏡も壊れてしまったから、新しく買い替えなくてはいけないし。
「……悪かったな。俺、昔から感情的になると自分でも抑えられないんだよ。だから、お前に余計な怪我させて……」
すると、思い詰めたように俯くと、重々しく語り始める俊君。
確かに、あの時は大人しくするべきだったと思う。
あのまま俊君が殴り続けていたら、きっと今頃は大変なことになっていたかもしれない。
……だけど。
「俊君は私のために、あんなに怒ってくれたんだよね?」
自分で言ってて凄く恥ずかしいけど、あの時柄の悪い男達に怒鳴っていた事が、今思えば素直に嬉しい。
「……そりゃあ女に手を出すなんて、許されることじゃないだろ」
照れているのか。
俊君はそっぽを向くと、ぶっきらぼうそう答えた。
そんな反応が可笑しくて、私はくすくすと小さく肩を震わせる。
事が穏便に済み、引き上げる頃にはかなり時間が過ぎていて、伯母さんから着信が入った。
なかなか帰ってこないことを凄く心配されてしまい、申し訳ない気持ちで一杯になった私達は、暗い夜道を歩いて帰る。
しかし、歩いているのは俊君一人だけで、私は俊君の背に身を預け、首元にしがみついたまま先程から心臓が鳴り止まない。
「……ね、ねえ、重くないの?私、一人で歩けるから大丈夫だよ?」
家まであと僅かの距離なので、お言葉に甘えてしまったけど。
負ぶさっている状態と、自分の全体重が知られてしまった恥ずかしさに、私は震える声で恐る恐る尋ねる。
「バカ、その足で歩けるかよ」
そんな私を呆れた顔で一瞥すると、俊君は小さく溜息を吐いてから視線を前に戻した。
確かに、自転車が倒れた右足首は青く腫れ上がり、今でもじんじんする。
恐らく骨折まではしていないと思うけど、明日は病院に行った方がいいかもしれない。
それに、眼鏡も壊れてしまったから、新しく買い替えなくてはいけないし。
「……悪かったな。俺、昔から感情的になると自分でも抑えられないんだよ。だから、お前に余計な怪我させて……」
すると、思い詰めたように俯くと、重々しく語り始める俊君。
確かに、あの時は大人しくするべきだったと思う。
あのまま俊君が殴り続けていたら、きっと今頃は大変なことになっていたかもしれない。
……だけど。
「俊君は私のために、あんなに怒ってくれたんだよね?」
自分で言ってて凄く恥ずかしいけど、あの時柄の悪い男達に怒鳴っていた事が、今思えば素直に嬉しい。
「……そりゃあ女に手を出すなんて、許されることじゃないだろ」
照れているのか。
俊君はそっぽを向くと、ぶっきらぼうそう答えた。
そんな反応が可笑しくて、私はくすくすと小さく肩を震わせる。