そうだ。

ここでまた大事になって、謹慎処分でもくらったら、きっと部活にも暫く出れない。

おそらく、大会出場停止だってあり得るだろう。

そんな事になったら、長年追いかけてきた俊君の夢は?

上京までして、ここまで登り詰めた努力は?

高校最後の全国大会に掛けていた想いは?


こんな事で、全てを無駄にしていいはずがないのに!


「おい、俊!目を覚ませ!俺らは今そういう事している場合じゃないだろっ!」

尚も殴りかかろうとする俊君を、必死で抑えようとするサッカー部員二人。

ヤクザまがいの男性達は、俊君の重い一撃がこたえたのか。身構えるも最初の勢いは感じられなかった。

「うるせえ!こいつらぶっ飛ばすまで、気が治んねえよっ!」

相手は若干戦意喪失している中、尚も興奮状態の俊君は抑えつけるサッカー部員達の腕を勢いよく振り払うと、タガが外れた拳は再び男性達の元へと飛び込んでくる。