「……っぐ!」

その時、突如聞こえた鈍い音と、サッカー部員のうめき声。

何事かと顔を上げると、俊君はとても不機嫌そうな表情で、男性の背後から蹴りをお見舞いしていた。

「あんまりじろじろ見んな!嫌がってるだろ」

それから、声を張り上げて一喝すると、庇うように私の前に立ちはだかり、お陰でようやく男性の視線から解放されたはいいものの。

背中を痛そうに擦りながら悶えている様子には、少しだけ同情してしまう。

「……いって~。だから、お前の蹴りは半端ねえんだよ。ったく、何ムキになってんだか」

「別にムキになってないだろっ!」

蹴られたサッカー部員は少し涙目になりながら反論すると、それに食ってかかる俊君。

そこからは二人の口論が始まってしまい、この場をどう収めればいいのか分からず、私は狼狽えてしまった。

「あー、お前ら本当バカだな。ごめんね、騒がしくて」

そんな二人を冷ややかな目で眺めながら、もう一人のサッカー部員が呆れ顔で私に謝ってくる。

その光景がなんだか可笑しくて。

和気あいあいと絡む三人を微笑ましく思いながら、暫く眺めていた時だった。