……ちょ、ちょっ……
「ちょおっと待って!私には何が何だかさっぱりなんだけどっ!」
思わず手に持っていたお盆をひっくり返しそうになるのを寸でのところで抑え、私は何事もなく進む会話を大声で静止させた。
今度は伯母さん、伯父さんがきょとんとしながら私に視線を向ける。
すると、暫く沈黙が流れる中、母親が申し訳なさそうにおずおずと片手を上げた。
「……ごめん。私加代にまだ引越しのこと話してないんだ」
そして、“てへっ”と茶目っ気たっぷりの笑顔を浮かべながら、頭に手をあて、バツが悪そうに首を横に傾けたのだった。