それから、どれくらいの時間が経過しただろうか。

暫くしてから、海斗さんは抱き締めていた私の体をゆっくりと離し、いつもの穏やかな表情で微笑みかけてきた。

「なんか見苦しい所を見せちゃったね。こんな真夜中に、ベットの上で女の子を抱くって紳士的じゃないよね」

「か、海斗さん。なんか色々と意味合いがおかしいですけど!?」

確かに、言ってることは間違いではないけど、そんな艶めかしく言われると、恥ずかしくて堪らない。

そんな焦る私を見て、海斗さんは悪戯に笑い出し、完全に遊ばれている状態が悔しくて、私は頬を膨らませた。


「加代ちゃんが僕の前に現れた時は、本当に驚いたよ。年齢も性格も雰囲気も、こんなに共通する子が世の中にいるなんて。なんだか運命的なものを感じたかな」

すると、海斗さんはベットの上に手を置き、思い馳せるように視線を天井に向ける。

「それで、加代ちゃんが公園で泣いてすがりついてきた時、この子を守らなきゃっていう衝動に駆られたんだ」


そう言えば、あの時も海斗さんは突然私を抱き締めてくれた。

当時は混乱していたけど、今ならその意味がよく分かる気がする。