暫しの間、この部屋に沈黙が流れる。

私も海斗さんが喋り出すまでは何も言わないと。只ひたすら隣で黙って見守り続けた。

「ある日、突然唯香からメッセージが来て驚いた。“苦しいよ、助けて”って書いてあって。だから、すぐに駆けつけようかと思ったけど、抗がん剤で日に日にやつれていく姿を見るのが精神的にも辛くて……。その日だけ僕は唯香を拒んだんだ。今までそんなこと一度もなかったのに……」

そして、ようやく語り出した海斗さんの声は、心なしか震えていて。

眉間に皺を寄せて唇を噛み締める姿に居た堪れなくなり、私は思わず唇を噛み締める。