果たして、これは言っていいものなのか。海斗さんの気分を害してしまいそうだし、楓さんにも悪い気がするので、ここはやはり上手く誤魔化した方がいい気がする。  

けど、この憂いを帯びた目で見つめられると隠し事なんて出来るはずもなく。

堪忍した私は全てを打ち明けると、海斗さんは眉間にシワを寄せて、大きな溜息を一つ吐いた。

「あの、ごめんなさい。話を色々聞いてしまって」

その様子に、私は慌てて深く頭を下げる。

「加代ちゃんが謝ることじゃないよ。全く、楓は本当にお喋りだな」

そう言うと、海斗さんは仕方ないと諦めたように、もう一度深い溜息を吐いた。

「あの、私って本当に妹さんと似てるんですか?その……全然信じられないんですけど」

あまり妹の話題には触れない方がいいのかもしれないけど、あれからずっと心に引っ掛かっていて、私は顔色を伺いながらおずおずと尋ねてみる。

「似てるよ。写真見せてあげる。ちょっと待っててね」

すると、海斗さんは一瞬だけ寂しそうな目で微笑み、踵を返して自分の部屋へと戻って行った。