……って。

そうじゃない!


「海斗さん待って!これを楓さんに返してもらえますか?」

私は慌てて引き止めると、ポケットからあの白いハンカチを取り出す。

「楓に?加代ちゃん楓と会ってたの?」

それを見た海斗さんは驚愕の眼差しを向けてきて、バツが悪くなった私は思わず視線を逸らしてしまった。

「えと……はい。あの後私達楓さんとお茶することになって。それで、色々話を聞いて……」

別にやましい事なんて何もないけど、二人の関係を知ってしまった以上、なんだかとても気まずい。

「もしかして、加代ちゃん泣いたの?」

「な、なんで分かったんですか?」

すると、唐突に図星を突かれてしまい、否定する事を忘れてあっさりと認めてしまった。

「ハンカチ借りるなんて、それぐらいしか思い浮かばないし。それより、何かあったの?」

それはごもっともと。

一人納得していると、今度は心配そうな面持ちで顔を覗き込まれてしまい、私はぎくりと肩が震え、その場でたじろいでしまう。